人生のクリシェとビッグデータ

陳腐さの中の洞察

クリシェ：陳腐な表現/設定や固定観念を意味するフランス語

クリシェは、陳腐な表現、設定、筋書きなど、映画でよく使われる言葉だ。
財閥の娘が自分をぞんざいに扱う男性をひどく嫌っていたが、次第に打ち解け愛が芽生えるとか、悪いと思っていた劇中の人物が劇的な瞬間に犠牲となり主人公を救うとか、などだ。ありきたりで予想可能な設定は退屈さを与える可能性があるため、映画では様々な設定を試みたり、特徴的な演出で独特な表現をしたりもする。このように、映画ではクリシェは否定的なニュアンスで使われることがあるが、映画はクリシェをある程度破らなければ興味を与え、生き残ることができないからだ。

しかし、人生ではどうだろうか？ 人生にも様々なクリシェが存在する。そして、そのクリシェは非常に重要だ。偶然のきっかけで始まった読書が多読につながり、様々な大小の成功につながったり、地道な運動と食事管理で劇的な変化を経験し、素敵で美しい体を手に入れたりする。また、運良く成り上がり者＆一攫千金者になったが、初心を忘れ、贅沢三昧してしまい、どん底に落ちたり、傲慢で横柄な態度で他人を見下し、世間から大勢の人々に叩かれたりもする。

映画でのクリシェは、単に陳腐な設定、表現などであるとすれば、人生では陳腐なほど確実なデータに近い。人生のビッグデータから得られた確実な統計であり、そうなる可能性が非常に高い事件。それだけ、人生のクリシェは非常に重要で信頼できる。しかし、私たちはクリシェをありふれた話だと無視しがちだ。ダイエットをするには運動をして、少なく食べ、食事管理をしなければならない。他の方法はない。しかし、クリシェを無視し、他の方法はないだろうか、近道はないだろうかと期待し、様々な甘い話に巻き込まれ、その代償としてお金と時間、健康などを支払うことになる。

このように、人生には法則のような、大小のクリシェが確かに存在する。そして、陳腐で当たり前の話であるほど非常に重要であり、守らなければならないものかもしれない。様々な自己啓発書/映像などを見てもそうではないだろうか。逸話、ヒント、ノウハウ、表現の違いはあるとしても、核心的なメッセージはたくさん見て聞いていると似たり寄ったりだ。人生におけるクリシェはビッグデータだ。

夢、事業的成功、就職、転職、成功的なキャリア、夢、ダイエット、健康回復、素敵な外見、恋愛、結婚、資産運用、幸福、特定の技術、能力、知識、知恵、影響力など、私たち個々人はそれぞれ望むものが非常に多様だ。また、同じ人であっても状況によっても異なり、何かを得て達成しても、すぐにまた別のものを望む。私たちはこのように数多くのものを求めて得て達成しようとしているが、このたびにクリシェを調べてみれば、非常に大きな助けになるのではないだろうか。方法が異なるとしても、本質的な部分は大きく変わらない可能性が高い。

例えば、健康的なダイエットのためには「地道に」運動し、少なく食べなければならない。ジョギング、ヘルス、水泳、ウォーキング、速歩き、サイクリングなど、様々な運動があり、おやつを減らす、炭水化物を減らす、ご飯を半分食べる、インターミッテントファスティングなど、様々な食事療法がある。何であれ、自分に合った運動と食事療法を並行すれば良い。魔法の薬はなく、地道に運動と食事を並行しなければならない。飽きるほど聞かされるダイエットのクリシェだ。

このように、私たちは何かを望むなら、クリシェを当たり前だと聞き流してはならず、むしろそれを心に刻まなければならない。当たり前で陳腐だと感じるほど数多くの成功事例を保有しており、生理的なメカニズムであれ、途方もない因果関係であれ、何らかの核心的な要素がある可能性が非常に高いからだ。

私たちは望むものがあり、それを得て達成したい。そして、そのためにある程度方法などをすでに探した可能性が高い。しかし、どうすればいいのかよく分からないと言うこともある。しかし、実は、すでにどうすればいいのか知っている場合が多い。ただ、魔法の薬があるのではないかという希望を抱いているだけ。

私たちはすでに答えを知っている。どうすればいいのかまで。魔法の薬を探す代わりに、クリシェに従い黙々と行えば、時間がかかるとしても、私たちは望むものをすべて成し遂げるだろう。たくさん見て聞いたし、当たり前で陳腐なので耳によく入ってこないかもしれないが、私たちはクリシェを注意深く見てみなければならない。成し遂げたすべてが指折り数えるほど真理に近い可能性があるから。人生におけるクリシェはビッグデータだ。